一口に外壁塗装と言っても塗っているもの、塗料というのは様々です。
そして性能や金額も塗料によって大きく変わります。
そのため、外壁塗装をする際には「自分が外壁塗装に対して何を求めているのか」を考える必要があります。
例えば一口に外壁塗装と言っても下記のように目的が分かれます。
- 建物の機能維持
- 不具合(主に雨漏り)対策
- 美観
- 断熱・遮熱等の機能向上
これらの目的と予算に合わせて適正な塗料を選択しなくてはなりません。
とはいえ外壁塗装における塗料の種類は非常に数が多く、素人には調べきれません。
仮に調べてみようと塗料のメーカーサイトを見てみても、種類が多すぎて全然分からないかと思います。
例えばですが、塗料の大手メーカーエスケー化研の外壁用塗料のページを見ると2021年8月現在で70種類、「日本ペイント」の外装用上塗り塗料のページを見ると49種類もの塗料が紹介されていました。
そのため、私たちお客さん側は塗料の全てを把握するというよりは、塗料の種類別に「特徴と価格帯」をざっくり把握するに留めるのが正解です。
もしくは各系統の現在の代表格製品を把握しておけば十分ではないでしょうか。
こんにちは!管理人のぺいとんです。
2021年時点で築7年ほど経過した住宅に住んでいます!まだ少し先にはなりますが、いずれやってくるわが家の外壁塗装に備えて勉強をしている最中です。
建築や不動産の業界の人と多少関わりがあります。
でも、専門職ではありませんので立ち位置的には普通の人と近いと思っています。
だから、よりかみ砕いて外壁塗装について説明していけると思っています。
今回は塗料の種類についてです。
実際には種類だけではなく主立ったメーカーの主力製品名も一緒に紹介・解説していきます。
結論を先に述べてしまうとこんな感じです。
- 塗料の主流はシリコン系塗料とラジカル系塗料
- ハイグレードで特殊な効果を持つフッ素系塗料・ピュアアクリル・光触媒・無機系塗料
- 今ではほとんど使われないアクリル系塗料・ウレタン系塗料
どれにするか迷うならシリコンかラジカルを選択すると良い
この記事はこんな人に読んでほしい!
- 外壁塗装の塗料の違いを知りたい
- 塗料が違うと何が変わるのかが分からない
本記事は外壁塗装の見積前に知りたい|塗料・外壁・屋根の素材解説まとめで記事のなかで解説した「外壁塗装で使われる塗料の解説」についてさらに踏み込んで解説していく記事です。
外壁塗装ではOEM製品の利用は非推奨!
塗料について個別の解説をする前にOEM製品の存在を知っておきたいところです。
ご存じかもしれませんがOEMというのはメーカーが他社のブランド製品を作ることです。
これ自体は外壁塗装の塗料でも同じです。
このOEM製品に関しては利用するのはおすすめできないというのが結論となります。
なぜならその業者専用の商品のため、商品詳細を調べる術がないためです。
通常の塗料であればどこの製品であれ塗料メーカーに製品の詳細が記載されています。
そこには何系(合成樹脂など)の塗料なのか、何年程度品質を保持するのかなどの情報が事細かに記載されています。
エスケー化研「エスケープレミアムシリコン」詳細ページより引用
これはエスケー化研の商品ですが、OEM製品では上記のような情報が一切分かりません。
オリジナルの商品の場合、応対してくれている営業さんの話す情報が全てです。
安くない外壁塗装で謎の商品を使うのはかなり怖い・・・
だから外壁塗装では一般流通しているメーカーからの情報が出ている商品を選択することをおすすめします。
この後は本題の種類別の塗料の解説に入っていきます。
外壁塗装の主流はシリコン系塗料とラジカル系塗料
もし特別なこだわりがなくコストパフォーマンスが良く、程々の塗料を選択すれば問題ないというのであればシリコン系塗料かラジカル系塗料がおすすめです。
シリコン系塗料は現在シェアNo,1、ラジカル系塗料は近年シェアを伸ばし次世代の主流になる可能性が高いであろう塗料で、どちらも機能と価格のバランスが良くコストパフォーマンスが高い製品と言えます。
現在シェアNo,1のシリコン系塗料
シリコン系塗料は現在のシェアNo,1塗料で、シェア率は70%以上と言われています。
それなりの機能を有しながらそこそこ安いという理由から今現在は圧倒的なシェアを誇っていますね。
ただし、このシリコン系塗料は種類も非常に多くの種類があります。
安さをウリにした業者の中にはシリコン系塗料の中でも低品質な物をを使っていることもあるので注意が必要です。
商品について詳しくは知りたい方はエスケー化研公式ページへどうぞ!
設計価格とはメーカーの公表している標準価格のこと。
一般的な言葉に当てはめると「定価」と考えて差し支えない。実際の見積では設計価格より低く出てくることが多い。
近年シェアを伸ばしているラジカル系塗料
近年シェアをぐんぐん伸ばしているのがこのラジカル系塗料です。
他の塗料と違い、名前に使われている「ラジカル」というのは合成樹脂のことではありません。
正確にはラジカル制御型塗料と呼ばれるもので、塗装面が劣化して粉のようになってしまう「チョーキング」などを抑える機能を持つ塗料を指しています。
そのためラジカル系塗料に含まれている合成樹脂は「アクリル」であったり「シリコン」であったりします。
その合成樹脂によっても塗料の質が変わります。
またシリコン系塗料とそれほど価格の差がなく、それでいて耐用年数が高いとされていてシリコン系塗料と同様かそれ以上にコストパフォーマンスに優れる商品です。
商品について詳しくは知りたい方はエスケー化研公式ページへどうぞ!
特殊な機能を持つハイグレードな塗料
ここから先で紹介していく種類の塗料は外壁塗装の塗料としては高級な部類に含まれるものになります。
その代わり特殊な機能を持つものも少なくなく、値段に見合うだけの効果が期待できます。
予算に余裕があるのであれば選択肢として考えてみると良いでしょう。
フッ素系塗料
耐久性が高く耐熱・防水などの効果も高いのがフッ素系塗料です。
値段が高い反面、その分耐久性が高いことから長い年数機能維持が期待できます。
とはいえ値段が高いのがネックとなり一般戸建住宅での採用例はそれ程多くはありません。
商品について詳しくは知りたい方はエスケー化研公式ページへどうぞ!
ピュアアクリル系塗料
次はピュアアクリル系の塗料です。
さっきアクリルは安いけど耐久性が無いって言ったよね?
アクリルとピュアアクリルは全然別物なんだ。
ピュアアクリル系の塗料は通常のアクリル系塗料とは別物です。
フッ素系塗料並の価格で決して安い物ではありませんが、それに見合う耐久性の高さ。
具体的にはフッ素系塗料に劣らない耐候性、弾性があることによるひび割れへの強さが特徴的な塗料です。
アステック公式ページには伸縮率600%を強調し、素材を手で伸ばしている写真が印象的。
その特性のおかげでしっかり隙間を埋めるできる防水性が高い商品と言えます。
ただしその分表面が若干べたつき汚れやすいというデメリットもあります。
また耐久性も約15年と長く、通常のアクリル系とは比較になりません。
商品について詳しくは知りたい方はアステック公式ページへどうぞ!
光触媒
壁自身が汚れを分解清掃するという「セルフクリーニング」という機能を持つと言われているのが光触媒の塗料です。
原料として含まれている「酸化チタン」が紫外線と反応することで汚れを落とすとされています。
逆に言うと紫外線が当たりにくい場所、つまり「日当たりの悪い建物」には不向きだと言えますね。
また、セルフクリーニング機能だけでなく耐久性が長いことも知られています。
具体的には16年~22年ほどとされていて塗料の中ではかなり長い部類です。
そういう意味では短いスパンで外壁塗装を考える必要が無くなるというメリットがあると言えます。
※ピアレックス・テクノロジーズ「お施主様向けカタログ」より引用
ただし全ての汚れに対応しているわけではありません。
対応している汚れは「有機物」であり「無機物」は対象外です。
有機物とは炭素を含む物質のことです。
つまりチリやホコリなどには反応しますが、土や金属からのサビなどには反応しません。
また、有機物由来の汚れであっても汚れの程度がひどすぎる物に対しては効果は薄いようです。
さらに施工実績がそれほど多くないことも気になるところではあります。
これは取り扱っている塗料メーカーが少ないことや、施工が難しいため扱う業者が少ないことが理由です。
光触媒の塗料を見当するときはよく考える必要がありそうですね。
商品について詳しくは知りたい方はアステック公式ページへどうぞ!
無機系塗料
塗料の中に無機物を混ぜ込まれているのが無機系塗料です。
無機物とは石やレンガのような炭素を含まない物質を指しています。
炭素を含まないということは、炭化をしません。
つまり直射日光や風化による劣化をしないということですね。
この特性が多くのメリットを生み出します。
- ラジカル抑制
- セルフクリーニング機能
- 不燃性
他の塗料でメリットとしてあげてきた特徴を複合的に兼ね備えているのが無機系塗料の特徴です。
無機は劣化しづらい特性のおかげでラジカル系塗料のようにラジカルを抑制し、フッ素系塗料のようにセルフクリーニング機能を有します。
さらに無機物なので燃えにくいという特徴ももっているのです。
金額さえ気にしなければ何でも無機塗料でいいのね!
と、言いたいところだけどデメリットも存在するんだ。
無機物というのは素材が硬いため、塗料の塗膜も硬く仕上がります。
そのためひび割れしやすいというデメリットがあります。
地震などの揺れによって力や荷重が掛かる部分には不向きな塗料と言えるでしょう。
また、湿気によって伸縮する木材とも相性が悪いです。
そのため、木部の塗装では選択してはいけない塗料です。
商品について詳しくは知りたい方はエスケー化研公式ページへどうぞ!
現在ほとんど利用されないアクリル系・ウレタン系塗料
現在、一般住宅の外壁塗装でほとんど利用されない塗料がアクリル系とウレタン系の塗料です。
理由はどちらも同じで以下の通りです。
- 耐用年数が短い
- 費用対効果(コストパフォーマンス)が悪い
アクリル系の耐用年数は5年から7年ほど。
そしてウレタン系塗料は8年から10年ほどです。
耐用年数が短いということはその分早い周期で外壁塗装を考えなくてはいけません。
早い周期で塗り直しと言葉にするのは簡単ですが、実際の作業はそうではありません。
【素人でもわかる】外壁塗装の全体工程。作業手順を徹底解説!という記事で説明していますが、塗る前には多くの事前準備が必要です。
もちろんその準備にはそれなりの費用が掛かりますので長い目で見るとコストパフォーマンスは低いと言わざるを得ません。
つまり外壁塗装を考えたときに「アクリル塗料」や「ウレタン塗料」を選択するのは余計なお金が掛かるというシンプルなデメリットがあります。
ただし、建物が数年程度保てれば良い人。
例えば数年で建て替えてしまうなどの具体的な理由がある人であれば使っても良いかもしれない塗料ですね。
ただし、ウレタン系の塗料については汎用性が高く、建物の付帯部(木部など)に部分的に採用されることも少なくありません。
見積時にウレタン塗装の項目がある場合には、良く業者さんの話と考えを聞いてみることが大事です。
ここで知っておきたい
一般的な外壁塗装では「アクリル系塗料」「ウレタン系塗料」は選択しない
ウレタン系塗料に関しては例外もある
まとめ:おすすめ塗料と失敗しない選び方!
今回の話では計8種類の塗料の概要を解説してみました。
何となくでも特徴はつかめたでしょうか。
長々と解説してきましたがざっくりとしたイメージでいうなら下記の通りになります。
- 塗料の主流はシリコン系塗料とラジカル系塗料
- ハイグレードで特殊な効果を持つフッ素系塗料・ピュアアクリル・光触媒・無機系塗料
- 今ではほとんど使われないアクリル系塗料・ウレタン系塗料
どれにするか迷うならシリコンかラジカルを選択すると良い
選ぶにも選ぶ指標が必要です。
だから先ほどまで解説してきた各塗料の概要を表にまとめてみましたのでご覧下さい。
スライドできます→→ | オススメ度 | 価 格 | 相 場 | 耐用年数 | 実 績 | 1番の特徴 |
シリコン系塗料 | ◎ | 良コスパ | 2,500~3,500円/㎡ | 10~15年 | 多い(シェアNo,1) | 費用対効果 |
ラジカル系塗料 | ◎ | 良コスパ | 2,500~3,800円/㎡ | 13~16年 | 多い | ラジカル抑制 |
フッ素 | ○ | 高価 | 3,500~4,800円/㎡ | 15~20年 | やや少ない | 高耐熱性・防水性 |
ピュアアクリル | ○ | 高価 | 4,000円/㎡前後 | 15年程度 | やや少ない | 弾性(よく伸びる) |
光触媒 | △ | 高価 | 4,000円/㎡前後 | 20年程度 | 少ない | セルフクリーニング |
無機系塗料 | ○ | 高価 | 4,500~5,500円/㎡ | 20~25年 | やや少ない | 劣化しづらい |
アクリル系塗料 | × | 安価 | 1,400~1600円/㎡ | 5~8年 | ほぼ使われない | とにかく安い |
ウレタン系塗料 | △ | 安価 | 1,700~2,000円/㎡ | 7~10年 | 部分的な使用のみ | 汎用性の高さ |
※上記相場金額は複数の業者の価格を確認してみた結果です。あくまで参考価格としてご覧下さい。
どうでしょう。
1つずつ順番に解説すると把握しづらかったものがこれなら分かりやすくないでしょうか。
実際に見積を取るときには、それぞれの特徴と自分の予算を照らし合わせて塗料の候補を絞り込むと良いでしょう。
余程のこだわりがなければ「コストパフォーマンスを優先」するのがオススメです。
今回は以上になります。
今後も色々と解説を頑張っていきますのでお付き合い頂けたら嬉しいです。
次回もよろしくお願いします!最後までお読み頂きありがとうございました!