外壁塗装について調べているときに、リフォーム産業新聞の記事でこんなものを見かけました。
約1年前にすべてのアスベスト(石綿)の事前調査が義務化された。さらに今年4月、結果の報告義務化も始まった。外装業界から「…
この記事はアスベストに関しての解説なんですが、「アスベストが含まれている可能性のある建物をリフォーム」する際には調査することを義務付けられていることについて紹介しています。
この記事の読める部分だけで分かることはアスベストの含まれている可能性のある建物を壊したり修繕したりする場合にはアスベスト含有の調査をしなくてはならないと言うことです。
この記事の冒頭だけ読むと、外壁塗装は上から塗料を塗っていく行為に過ぎないため何となく無関係な気がしてしまいますがそうではありません。
記事には外壁塗装や洗浄などでも報告義務が発生していると紹介されているのです。
そして報告を怠ると罰則規定もあるため報告を省くことはできません。
特定粉じん排出等作業の実施の届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、3月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます(災害その他非常の事態の発生により特定粉じん排出等作業を緊急に行う必要がある場合において、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、10万円以下の過料に処せられます)。
これは業者視点で見ると手間が増えてしまう一因となります。
そして業者の手間が増えてしまうということはその分費用が上がり消費者にも影響が出てしまいます。
だから今回の話はこれから外壁塗装をしようと考えている人には結構大事な話なんです。
こんにちは!管理人のぺいとんです。
2022年時点で築8年ほど経過した住宅に住んでいます!まだ少し先にはなりますが、いずれやってくるわが家の外壁塗装に備えて勉強をしている最中です。
建築・不動産の業界人と多少の関わりがありますが、私自身は専門職ではありませんので立ち位置的には普通の人と近いと思っています。
だから、よりかみ砕いて外壁塗装について説明していけると考えています。
今回は外壁塗装におけるアスベストについてです。
外壁塗装においてアスベストが含有された建材であるかどうかというのは実はかなり消費者にとって影響があることだと分かりました。
結論を先に述べてしまうとこんな感じです。
- アスベスト含有の疑いがある建物は調査が必要
- 2006年9月以降の建物にはアスベストは入っていない
- 調査や処理の費用は結構高い
- アスベストに関する調査・対応は費用に反映される
この記事はこんな人に読んでほしい!
- これから外壁塗装を考えている
- 自分の家は2006年より前の建物である
アスベスト含有の可能性がある建物は2006年8月まで
昔の建材にはアスベストが広く利用されてきました。
これはアスベスト入りの方が強度など、建材としての性能が優秀だったためです。
そして何より当時はアスベストの危険性が認知されていませんでした。
しかしアスベストの危険性が認知されると共にその利用が禁止されて今に至ります。
だから現在の住宅建材にはアスベストが利用されていることはありません。
アスベスト含有建材の利用が禁止されたのは2006年9月、だからそれ以降の建物にはアスベストは含まれていないのです。
しかし逆に言うと2006年8月までの建物にはアスベスト含有の建材が利用されている可能性が高いということになります。
アスベスト含有の建材には専門の調査員や飛散防止の対応が必要
先ほどの項で解説した2006年9月以降の建物であれば気にする必要はありません。
アスベスト入りの建材自体が廃止されているので使われているはずないということです。
ですから逆に言うと2006年9月以前の建物であればアスベストの調査が必要と言うことなんです。
アスベストに関連する作業は調査は専門資格を持った調査員が、そして作業は周囲に粉じんが飛散しないようにする対応が必要になります。
つまり、アスベストが関連した作業というのは通常の作業よりも手間も掛かるということです。
さらに「アスベストが含まれているかどうかを調べる」ためには専門の資格をもった調査員に依頼しなくてはならないということは、普通に作業をするよりも余分にお金が掛かるということなんですよね。
調査費用については業者さんによってかなり幅はあるようです。
冒頭の記事の中では事前調査をするだけでも5~8万円程度と紹介していました。
また、ネット上でいくつか業者を見た感じでは4万円前後の費用が掛かるとしているところも多く、法整備がされたばかりで相場的なものがなく価格もばらつきがありそうです。
そして実際の作業では足場の飛散防止シートをメッシュではない専用のシートを利用したり、飛散防止のために水を掛けながら壊していくというように普通より時間を掛けて作業をしなくてはならない等、人的コストも増加します。(要資格者:石綿作業主任者)
さらにアスベストというだけで発生したゴミの処分費用が通常よりも高額になります。
残念ながらアスベストが含まれているというだけで、通常よりも高額になる作業費が上がることがほぼ確定となってしまいます。
アスベストの調査義務があるのは元請業者・・・だけど・・・
アスベストに関して調査や対策をする義務を課されるのは実は消費者ではなく、作業依頼を受けた元請業者です。要は建築会社やリフォーム業者など、あなたと直接契約した会社ということですね。
だから建物に手を入れるときに、あなた自身がアスベストの調査に関して特別な何かをする必要はありません。でも、あなた自身に全然関係ないかと言われれば当然そんなことはありません。
アスベストに対応するにはそれ相応の手間が掛かります。
つまりそれはあなたが負担しなくてはいけない費用に転嫁されるということだからです。
そして、まともな業者であれば義務化されてしまった作業を省くことはまずありません。
法的に必要となってしまった以上、その作業は見積に必ず反映されます。
アスベストの事前調査義務化の概要
アスベストに関する調査が必要となる物件の条件は以下の様になります。
- 床面積80平方メートル以上の解体作業
- 請負額100万円以上(税込み)の改修及び補修工事
1つ目の解体作業については外壁塗装を考える人にとっては関係ありませんね。
建物を維持するための工事をこれからしようとしているのですから壊すための条件は気にする必要はありません。
関係あるのはもう1つの請負額100万円以上の改修及び補修工事ですね。
外壁塗装は建物の維持管理のために行うので、当然改修や補修に含まれます。
請負額100万円以上という書き方だとピンとこない人もいるかもしれませんが、要は契約金額100万円以上であれば調査が必要という話です。
この税込100万円以上という金額が何とも絶妙な金額だと私は思います。
一般的な住宅を外壁・屋根を塗装しようと思うと大体100万円は超えてくるからです。
改修工事において、作業をまとめてやることで費用が下がるのは良くある話です。
それは外装工事も例外ではなく、外壁と屋根をまとめてやれば塗装の費用は安くなる可能性は高くなります。
しかし、まとめたことで100万円を超えてしまえば調査が必要になり費用が掛かる。
私たち消費者からすれば何とも微妙な話ですよね。
安く済ませようと作業をまとめたら余計な費用が掛かるのですから。
逆にあえて工事を分割して100万円を超えない金額の工事を期間を空けて複数行うという考え方をする人も現れるかもしれませんね。
ところでなぜ外壁・屋根の塗装工事でアスベスト調査が必要なのか?
ここまで私が調べたところで私には1つ疑問がありました。
塗装作業は別にアスベストの粉じんを発生させる可能性は低いのでは???
だとしたら塗装作業においてアスベストの調査や対処なんていらないのではないだろうか、と。
これについても、先回りして回答が用意されていました。
下記のような作業によって粉じんが発生する可能性があるから外壁(屋根)の塗装でもアスベストの調査が必要とのことでした。
- 高圧洗浄により塗膜や建材が削れる可能性がある
- 補強などによりビス打ち
- 建材交換時の穴開けやカットなど
冒頭の記事の中では上記のような高圧洗浄やビス打ちなどでもアスベスト調査及び対策をしなくてはならないと解説しています。しかし、いくつか塗装業者さんのサイトを巡ってみると、多少見解が違ったりするようです。
例えば外壁や屋根を既存部分を残したまま重ねて張るカバー工法と言うものがあります。
このカバー工法であればアスベストを気にする必要はないとしているサイトもありました。
しかし冒頭の記事によるとカバー工法も調査の対象であるとしています。
さらに工具を使う作業には隔離養生(飛散しないように密閉する処置)が必要だとも記載があります。
記事のサンプルとしてギリギリ見える範囲には塗装業者が勝手に解釈して必要ないと考えているとありました。
実際のところ、この記事の通りに全ての調査や対処をするとなると手間(コスト)が上がりすぎて現実的じゃないように思えますし、これらを現時点で100%守っている業者ってとても少ない気がするんですよね。
詳しくは書けませんが、知り合いの業者さんの中でもこのことについて知らないと言う人も実際にいました。
現実的には「罰則を受けた業者がいる!」と事例が増えて初めてこの法改正が浸透していく気がするのでしょうが、今後どうなるのかは注目していきたいところです。
まとめ:外壁塗装でアスベストが含まれていると価格が上がる理由
今回は法改正のあったアスベストの取り扱いについて解説してみました。
話の要点は以下の通りです。
- アスベスト含有の疑いがある建物は調査が必要
- 2006年9月以降の建物にはアスベストは入っていない
- 調査や処理の費用は結構高い
- アスベストに関する調査・対応は費用に反映される
今回の法改正によりアスベストの含有の調査の義務化、そしてアスベスト含有の建物には対策をした上での施工が求められるようになりました。
調査にも施工・処分にも通常よりも多くの費用が掛かるため、今後の修繕工事などはその費用が価格に転嫁されていくことはほぼ確定的といえるでしょう。
その義務が課される条件は以下の通りです。
- 床面積80平方メートル以上の解体作業
- 請負額100万円以上(税込み)の改修及び補修工事
建物の維持管理という内容に掛かる要件は請負額100万円。
単純に100万円と聞くとそれなりに高額ですが、建物の大規模修繕ということを考えると決してありえない数字ではないどころか割と普通に必要になってくる金額です。
つまり一般的な住宅でも調査が必要になってくることの方が多いということなんです。
さらに調査後アスベスト含有が確認された場合、工事の内容によりアスベスト飛散防止の対策が求められます。工事の内容は以下の通りです。
- 高圧洗浄により塗膜や建材が削れる可能性がある
- 補強などによりビス打ち
- 建材交換時の穴開けやカットなど
これらの内容は修繕工事の中ではごく当たり前に発生する可能性がある内容です。
今回参照した記事ではこれら全てに対応していかないといけないとしている反面、実際に作業に当たっている業者には必ずしも浸透しきっているとは言えない(と思う)状況であると考えられます。
今回は以上になります。
今後も色々と解説を頑張っていきますのでお付き合い頂けたら嬉しいです。
次回もよろしくお願いします!最後までお読み頂きありがとうございました!
もし、解釈が間違っているということであればぜひご指摘下さい。
もし今回の話のようなことが自分に関係あるとしたら、あなたはどう行動するのが正解でしょうか?
まずは身の回りの人に相談するのが正解です。
相談された人に知識があってもなくても、その話が不自然かどうかは客観的な立場の人の方が分かりやすいからです。
そしてその次は「自分で手配した」業者に家を確認して貰うこと。
これが重要です。自分の生活圏内に相談できる業者があればそこに相談してみても良いでしょう。
自分で手配できる様な業者を全然知らないのであれば、一括見積サイトの利用を検討してみて下さい。
一括見積サイトについては外壁塗装の一括見積|比較検討に最適なおすすめ優良サイト9選(+3選)という記事で紹介しています。