外壁塗装と同時に行われることが多いコーキング(シーリング)の打ち換え。
壁の面積に対して、割合は非常に少ないためちょっと地味で注目されることは多くはありません。
そして外壁同様、いえそれ以上に傷みやすく外壁塗装をするのであれば一緒にメンテナンスをするのは必須といっても良いくらい大事な部位です。
こんにちは!管理人のぺいとんです。
2021年時点で築7年ほど経過した住宅に住んでいます!まだ少し先にはなりますが、いずれやってくるわが家の外壁塗装に備えて勉強をしている最中です。
建築や不動産の業界の人と多少関わりがあります。
でも、専門職ではありませんので立ち位置的には普通の人と近いです。
だから、よりかみ砕いて外壁塗装について説明していけると思っています。
今回は建物の目地(隙間)を埋めるシーリング(コーキング)についてです。
馴染みが無い方からすると地味な項目かもしれませんが、外壁塗装に密接に絡んでして非常に大切な部分です。
ぜひ今回の話もお付き合いください!
結論を先に述べてしまうとこんな感じです。
- 建物の目地(や隙間)を埋めているゴムのような素材
- コーキングとシーリングはほぼ同様の意味で使われる
- コーキングの最大の目的は隙間を埋め、雨水・紫外線等の侵入を防ぐこと
- 劣化は「割れ」などの様々な状態となって表面化する
- コーキングにもいくつも種類がある
- 作業は一見簡単に見えるが専門職の人が存在する難しい作業
この記事はこんな人に読んでほしい!
- そもそもコーキング(シーリング)が何か分からない人
- 自分の家のコーキング(シーリング)の劣化が気になる人
- 劣化はしてるけど「まだ大丈夫だろう」と思っている人
この記事は外壁塗装の見積前に知りたい|塗料・外壁・屋根の素材解説まとめのコーキングの打ち替えという項目を深掘りした記事になります。
そもそもコーキング(シーリング)とは?
そもそもコーキング(シーリング)とは何なのでしょうか。
コーキング(シーリング)とは家のような建物に存在する隙間(目地など)を塞いで気密性や防水性を得ることを目的として行われる作業で、隙間に樹脂製の素材を充填(じゅうてん)することを指しています。
普段は気にもしないかもしれませんが、実際の建物を見て「これ!」と言われると「あぁ、これね。」となるはずです。
コーキングとシーリングって似てるだけ?違うもの?
隙間(目地)を埋めている樹脂、または作業のことをコーキング、またはシーリングと呼んでいます。
似て非なる言葉ですが、こと建築業界(外壁塗装)においては同じもの(作業)を指しています。
コーキング(caulking)は塞ぐという意味。
シーリング(sealing)は密閉するという意味。
今では使われることがなくなりましたが、昔は油性コーキングという硬化しない材料が使われていました。
それをコーキング材と呼び、それ以外の素材をシーリング材という名称で呼んでいたということです。
つまりその名残でシーリングやシール・コーキングという複数の呼ばれ方をしているという話で、現在はどの名称も同じ作業を指すようになったという経緯があります。
ここから先の話はコーキングで統一して解説していきます。
ここで知っておきたい
建築の分野ではコーキングとシーリングは同じ作業(素材)を指している。
コーキングをする一番の目的は雨水の侵入を防ぐこと
住宅関係に縁がない方からすると単に隙間を埋めているゴムのような部分、という認識しかないかもしれませんが非常に大切な部分です。
なぜならこれが劣化してしまうと部位によっては簡単に雨漏りの原因になってしまったりするからです。
もちろん「コーキングの劣化」が即雨漏りという症状になって現れるわけではありません。
サイディングなどの表面に見えている外壁の後ろには防水シートがあり、外部からの雨水の浸入を防ぐ構造になっています。
じゃあ防水シートがあるからそれでいいかと言えばそういうわけでもなく、やっぱりコーキングは必要です。
理由はいくつかありますが紫外線や熱での劣化が理由の一つに挙げられます。
コーキングの劣化が進めば最悪コーキング自体が剥がれ落ちるようなこともあり、隙間から熱・紫外線が入り込むことでしょう。
それにより防水シートが劣化してしまえばそこから雨水が入り込むようになります。
つまりコーキングを適切に行うことで、防水シートや外壁材を保護することができるというわけです。
また、外壁材(特にサイディング)は小口(こぐち:断面)から水分を吸収してしまいます。
それを防ぐことも目的の1つです。
外壁材は表面は丈夫でも断面はそうではありません。
そもそも断面はコーキングなどで塞がれている前提なので水や紫外線などの刺激に強くできていないということですね。
ここで知っておきたい
コーキングの劣化=即雨漏りではない
コーキングの役目は隙間を埋める事で外壁内部の防水シートなどを保護すること
コーキングが劣化することで起きる症状
コーキングは劣化をすると目に見えて傷んできます。
具体的にはどんな感じでしょうか。
上の写真はコーキングの劣化症状の一つ、ひび割れです。
コーキングは劣化が分かりやすい部材で見た目ですぐに劣化していると把握できます。
どのような形で現れるかと言えば以下のような症状として劣化が現れます。
- ひび割れ
- 破断(切れ)
- 肉やせ(細くなる)
- ブリード(溶けたようになる)
文字で書かれるだけだと分かりづらいかもしれませんね。
参考に1枚の写真を用意しました。
自宅でこのような状態のコーキングを見かけたら要注意です。
この写真はコーキングが劣化して痩せてしまい、壁から離れてしまっています。(痩せ・破断)
当然このような状態では隙間を埋めるという機能は果たしていません。
もう一つのブリードという減少は上で紹介した3つと比較すると見かける事が少ないかもしれません
ブリードとはコーキング材の成分の可塑剤(柔らかくする成分)が分離して溶け出す現象のことをさしています。
コーキングの周辺が変色し、汚れていたらブリードと考えて間違いありません。
ブリードは壁の周囲を汚して見た目が悪くなることはもちろん、塗料などにも悪影響を及ぼします。
そのため、ブリード減少を発見したら変色している部分だけでもすぐに対処しておく必要があります。
コーキングの種類
一口にコーキングと言っても塗料同様、成分には複数の種類があります。
素人にはぱっと見わかりませんが、現在では使われなくなったものやそもそも外壁の目地には向いていないものなど、コーキングにも様々な素材が存在しています。
コーキングとしてよく名前があがるのは5つとなります。
いくつも種類がありますが、コーキングとしては以下の表のものが代表的なものになります。
スライドできます→→ | 特 徴 | 外壁塗装での 使用頻度 |
(アクリル) ウレタン |
・ゴムのような弾性がありひび割れなどに使われる ・紫外線に弱く、上からの塗装が必須 ・アクリルウレタン、または単にウレタンと記載される |
○ |
変成シリコン | ・通常のシリコンとは違い塗装が可能。耐久性もありおススメできる材料 ・多少値段が高い |
◎ |
ポリウレタン | ・耐候性が強い ・価格はやや高め |
○ |
アクリル | ・塗装に使われる塗料と同様で、耐用年数が短い ・他のコーキング材に取って代わられ今は使われない |
△ |
シリコン | ・変成シリコンとは別物 ・変成シリコンとは違い壁に使ってしまうと塗装ができなくなる ・主な用途はキッチンなどの水まわり |
× |
コーキングの代表的な種類は上記の通りですが、その中でも外壁に使われるのは3種類に絞られます。
外壁の目地に使われる
- ウレタン
- 変性シリコン
- ポリウレタン
逆に外壁塗装には残りの2種はつかわれません。
外壁の目地に使われない
- アクリル
- シリコン
理由は表の中にもありますが、アクリルは劣化が早いこと、シリコンは周囲を汚染してしまい塗装ができなくなることが理由です。
そのまま使える1液タイプと混ぜ合わせる2液タイプがある
塗料同様コーキングにも1液・2液という分類があり、そのまま使えるタイプと現場で混ぜ合わせなくてはならないタイプが存在します。
1液タイプと2液タイプのコーキングでは以下の様な違いがあります。
スライドできます→→ | 特 徴 |
1液タイプ | ・カートリッジに収まっており、現場でそのまま使用できる ・扱いが比較的容易でDIYなどでも使われる ・最近は耐用年数が短いといった短所も改善されてきている |
2液タイプ | ・一斗缶などに入っており、現場にて2つの素材を混ぜ合わせて使う ・扱いが難しくプロ向き ・2液タイプの方が耐用年数が優れている |
ホームセンターなどでも売られている1液タイプは建築に興味がある人であれば見かけたこともあるかもしれません。
下の写真のようなカートリッジに充填されていて、先のとがった部分を切り取って使用します。
プロが作業をする場合、2液タイプのコーキングを利用することが多いです。
主材と硬化剤という2つの成分を混ぜ合わせ、自分たちでカートリッジに充填して作業をします。
作業時はカートリッをコーキングガンという道具にセットして作業していきます。
(下記写真がコーキングガン)
コーキング打ち替えの作業工程
では実際にはどんな風に作業が進んでいくのでしょうか。
具体的には以下の様な流れで作業が進んでいきます。
コーキングの作業手順
- 既存撤去
- 養生(マスキングテープ)
- プライマー
- 打ち替え
- 押さえ
- 養生撤去
まずは既存の傷んだコーキングを撤去します。
撤去はカッターなどを使い、切れ目を入れて目地から引っ張り出します。
次に養生です。
養生とは周囲を汚したり傷を付けないように保護材で守ることををさしますが、コーキングの場合は目地の周囲にマスキングテープを張っていくことを言います。
汚さないこともそうですが、コーキングではマスキングテープにもう一つの意味があります。(後述)
次の作業はプライマーです。
プライマーはコーキング材の食いつきをよくするために使われる下処理材です。
これを怠ると接着性が悪くなり、コーキングが剥がれやすくなります。
また、必要に応じて目地の中にボンドブレーカーという部材を入れ込みます。
ボンドブレーカーという部材はコーキングが接着する面を減らす目的で使われる部材です。
たくさん接着してる方が強い気がするけど・・・
動きのある目地ではシール材が動きに耐えられず破断してしまう可能性があります。
ボンドブレーカーを利用することで接着面を減らすことができ、それによってコーキングが動き追随しやすくなることで破断する可能性を減らします。
そもそも多くの住宅に採用されているサイディングなどは地震などで壁が動くように設計されています。そのためその動きに耐えられるようにシールの接着面を減らす必要があります。
その対策として目地の奥側にボンドブレーカーという材料を入れ込み接着面を両サイドだけにすることを基本としています。この状態を2面接着と呼びます。
逆に目地に何もせずにコーキング材を打ち込めば両サイドと目地の奥側で3面接着となるわけです。
コーキングの2面接着と3面接着の差異
スライドできます→→ | どんな場所に適用する? | 具体的にはどこ? | ボンドブレーカー |
2面接着 | ワーキングジョイント (動きがある場所) |
サイディング壁の目地など | 使用する |
3面接着 | ノンワーキングジョイント (動きがない場所) |
RC造の誘発目地など | 使用しない |
コーキングの打ち込みが終わったら専用のへらでコーキング材を目地に押し込み密着の度合いを高めます。これを押さえと呼びます。
押さえまで終わったらコーキング材が乾ききる前に養生で使用したマスキングテープを撤去する。
これを手際よくすることでコーキングの仕上がりがよりキレイになるのでとても大事な作業です。
これでコーキングとしての作業は終了です。
必要であれば外壁塗装に関する用語集もご利用ください。
コーキングの打ち方には「打ち替え」と「増し打ち」がある
外壁塗装をするときには基本的にコーキングを打ち替えるものですが、場合によっては増し打ちという既存の上から打つ作業をする場合もあります。
この増し打ちを採用しやすいのは窓まわりなどの雨漏りをしやすい場所です。
既存のコーキングを撤去する場合にカッターなどを利用して撤去することになるわけですが、このときに中の防水シートを傷つけやすいといった理由があるからです。
せっかくコーキングを打ち替えたとしても、それで防水シートを傷つけてしまっては元も子もありません。
外壁塗装(とコーキング)が終わったと思ったら窓まわりから雨漏りをし始めた!なんていうことにもなりかねません。
だから窓まわりのコーキングは増し打ちで作業をすることも多いのです。
まとめ:コーキングの知識と塗装との関連性
まとめになります。
今回お伝えしたコーキングについての知識は以下の通りです。
コーキング(シーリング)とは
- 建物の目地(や隙間)を埋めているゴムのような素材
- コーキングとシーリングはほぼ同様の意味で使われる
- コーキングの最大の目的は隙間を埋め、雨水・紫外線等の侵入を防ぐこと
- 劣化は「割れ」などの様々な状態となって表面化する
- コーキングにもいくつも種類がある
- 作業は一見簡単に見えるが専門職の人が存在する難しい作業
コーキング(シーリング)とは建物の目地などの隙間を埋めることを目的とした部材です。
一見ゴムの様な素材ですが、様々な樹脂素材をもとに作られています。
コーキングとシーリングでは厳密には意味が違いますが、建築業界ではほぼ同じ意味で使われていて、どちらを使っても意味が通じます。
コーキングの最大の目的は建物の隙間を埋め雨水や紫外線等の侵入を防ぐことです。
それにより防水シートのような壁の内側にある部材の劣化防止を担っています。
また作業には熟練を要し、いくつもの専門知識が必要です。
ちょっとした補修であればDIYも可能ではありますが、良かれと思ってした作業が逆に建物にとって良くないと言うこともよくある話なので知識が無いのであれば下手に触らずプロに相談した方が良いでしょう。
今回は以上になります。
今後も色々と解説を頑張っていきますのでお付き合い頂けたら嬉しいです。
次回もよろしくお願いします!最後までお読み頂きありがとうございました!